チュートリアル

より良い3Dモデルを作るVTuberリファレンスシートの作り方

3Dモデリングに役立つVTuberリファレンスシートの作り方を解説します。三面図、配色、表情資料、Virmii向けの1枚画像の準備方法まで紹介します。

SymphonyIceAttack
より良い3Dモデルを作るVTuberリファレンスシートの作り方のカバー

VTuberリファレンスシートの役割

VTuberリファレンスシートは、キャラクターのアイデアを、実際にアバターを作る人やツールへ正確に伝えるための資料です。1枚のイラストだけでは失われやすい体型、髪の重なり、衣装の構造、色、素材、アクセサリー、表情などをまとめます。

必要な資料は次の工程によって変わります。3Dモデラーには、位置をそろえた正面・側面・背面図が役立ちます。表情リグを作る人には、目や口の拡大図が必要です。一方、画像から3Dを生成するサービスでは、注釈を詰め込んだページより、キャラクターがはっきり見える1枚の画像が適しています。

情報は、受け取る側が読み取れて初めて役に立ちます。この記事では、人へ渡す制作資料と、Virmiiの1枚画像ワークフロー向けに書き出す資料を分けて説明します。

配信環境を含めて計画中の場合は、先に初心者向けVTuberの始め方をご覧ください。

リファレンスシート、三面図、表情資料の違い

これらの資料には共通する部分がありますが、用途は異なります。

資料一般的な内容主な用途
キャラクターイラスト正面または斜め前から見た1枚絵雰囲気、性格、デザイン全体を伝える
三面図高さをそろえた正面・側面・背面図1方向から見えない形状や比率を伝える
表情資料目、眉、口の変化を示す顔の拡大図ブレンドシェイプ、表情プリセット、顔リグを設計する
制作用リファレンスシート三面図、細部の拡大図、配色、素材、表情イラストレーターやモデラーへ一貫した基準を渡す

仕上げたイラストは、無表情な三面図よりキャラクターらしさを伝えやすい反面、髪の後ろ側、靴の形、衣装の内側などが隠れます。制作用シートでは、細かな絵を無理に詰め込まず、そうした不明点を解消することが大切です。

読みやすい全身図から始める

まず、自然なニュートラルポーズの全身図を中心に配置します。3D制作では、腕を胴体から離しながら、Tポーズほど肩を上げないAポーズがよく使われます。ただし、モデラーによって希望する姿勢が異なるため、依頼用の資料を仕上げる前に確認してください。

メインの全身図では、次の点を意識します。

  • 頭頂部、手、靴まで含めたシルエット全体を見せる
  • 強いパースや極端な短縮表現を避ける
  • 衣装の形が許す範囲で、腕を胴体から離す
  • 均一な光を使い、落ち影を弱くする
  • キャラクターと区別しやすい無地の背景を選ぶ

ニュートラルポーズでも、デザインを平凡にする必要はありません。左右で異なる袖、特徴的な尻尾、独特な目の形など、そのキャラクターを見分ける要素は残します。目的は、個性を消すことではなく、形を読みやすくすることです。

モデラーに必要な三面図をそろえる

一般的な3Dモデル依頼では、正面・側面・背面の組み合わせが最も役立ちます。すべての案件で必須とは限りませんが、角度が増えるほど、モデラーが想像で補う部分は減ります。

各ビューの足元を同じ基準線へ置き、頭頂部、目、顎、肩、腰、膝、足首に水平ガイドを引きます。繰り返し登場する要素も確認してください。角度によってベルトの高さが変わったり、ジャケットのライン数が背面だけ増減したりしないようにします。

可能な範囲でパースを抑え、正投影に近い見え方で描きます。ただし、これは設計図ではなく視覚資料です。実測したモデルを基にしていない限り、数学的に正確な寸法を保証するものではありません。

三面図をすべて用意する予算がない場合は、正面と背面を優先し、頭部、髪、靴だけでも側面図を加えます。どの角度があると作業時間を減らせるか、モデラーへ事前に確認するのが確実です。

髪、衣装、アクセサリーを分解して見せる

3D制作では、形が重なって見えない部分から確認作業が増えます。メインの図だけで説明できない箇所は、小さな補足図に分けます。

髪は、前髪、横髪、後頭部のまとまり、ポニーテール、細い後れ毛などに分解します。結び目の位置と、動かしたい部分も示します。こうした情報は、ジオメトリや物理ボーンをどう分けるか判断する助けになりますが、リギングの設計そのものを決めるわけではありません。

重ね着した衣装は、コート、ケープ、大きな袖の内側に何があるかを見せます。柄の背面も描き、小さな装飾が刺繍、プリント、金属、独立したパーツのどれなのか説明します。

シルエットへ影響するものや動かすものは、アクセサリー単体の図も用意します。

  • 靴は正面と側面を描き、形状が重要なら靴底も見せる
  • バックル、留め具、髪飾り、ジュエリーを判読できる大きさで描く
  • 手持ちの小物には持つ位置と、手に対するおおよその大きさを示す
  • 取り外しや表示切り替えを行うパーツを明記する

すべてのボタンを拡大する必要はありません。メッシュ、素材、リグ、動きへ影響する部分にスペースを使いましょう。

ライティングを含まない色と素材を記録する

肌、髪、目、主な衣装について、ベースカラーをまとめた小さなパレットを加えます。Hex値は、制作者への受け渡しや今後のブランド素材には便利ですが、すべてのレンダラーで同じ色になる保証はありません。ライティング、トーンマッピング、シェーダー、モニターの調整によって見え方は変わります。

カラースウォッチにはハイライトや影を入れないようにします。髪にグラデーションがある場合は、その方向を別に示します。素材のメモは短く具体的で十分です。

  • 光沢の少ないマットな綿素材
  • 磨かれた金属製のバックル
  • 外側の袖に使う半透明の布
  • 青く発光するエミッシブ素材の装飾

モデラーと同じレンダリング環境を使っていない限り、シェーダーの数値まで指定するのは避けます。言葉と見本画像を組み合わせた方が、異なる制作環境でも伝わりやすくなります。

使用するリグに合わせて表情を設計する

表情資料は、キャラクターの顔をどう動かしたいかリガーへ伝えるものです。まずはニュートラル、まばたき、笑顔、開いた口、怒り、悲しみ、驚きを用意します。発話用の口形は、共通のビゼーム構成があると決めつけず、担当リガーが必要とする形を確認してください。

どの表情でも輪郭と顔パーツの位置をそろえます。表情資料はブレンドシェイプ制作の指針ですが、それだけでブレンドシェイプが作られるわけではなく、生成モデルが必ず対応できるとも限りません。

AI生成アバターでは、この違いが特に重要です。Virmiiは完成モデルの顔機能を検証します。適切な顔トポロジーを持つモデルでは、まばたき、口形、視線、表情をより細かく動かせます。安定した顔変形ができない場合は、フル顔トラッキングと表示せず、頭部と身体の動きへフォールバックします。

キャラクター画像が1枚しかない場合

三面図は便利ですが、アイデアを試すために必須ではありません。わかりやすい画像が1枚あれば、AIによる初期モデル生成や、アーティストへの最初の相談を始められます。

切り抜かれていない正面または斜め前からの画像で、シルエットが明確なものを選びます。手が隠れている姿勢、組んだ脚、胴体を覆う小物、強いブルーム、衣装と同化する背景は避けてください。全身図なら体型や靴の情報も渡せますが、手元に半身図やポートレートしかない場合でも使用できます。

背面と側面については、期待を現実的に設定しましょう。1枚の画像には見えない面の情報がないため、画像から3Dを作るシステムが推定します。重なった髪、ケープ、尻尾、左右非対称の衣装では、想像していた形と異なる場合があります。

文章による補足は、アーティストへ依頼するときには有用です。ただし、現在のVirmii作成フォームで入力するのは、キャラクター画像1枚と任意のアバター名です。デザインメモやHex値を別の生成入力として追加することはできません。

Virmii向けの画像を準備する

制作資料を1枚にまとめると、画面内の情報量が多くなります。Virmiiへアップロードする前に、三面図、ラベル、矢印、スウォッチを含むページ全体ではなく、最も見やすいキャラクター図を独立した画像として書き出してください。生成パイプラインへ渡す視覚入力は1枚なので、キャラクターが明確な主役になっている必要があります。

現在のアップロード条件は次のとおりです。

  • PNG、JPEG、WebP
  • 縦横それぞれ256ピクセル以上
  • 10 MB以下
  • 40メガピクセル以下

自分が権利を持つ、または処理する許可を得た画像だけを使用します。キャラクターを中央に置き、不要な文字を避け、重要な部分が切れていないか確認してください。準備ができたら、Virmiiのアバター作成ワークフローから最初の3Dモデルを生成します。

Virmiiは画像をTripoへ送り、3D生成と人型の自動リギングを行います。その後、パイプラインがモデルを標準化し、顔機能を検証して、アバターメタデータを追加し、VRMを構築します。完成結果はブラウザでプレビューでき、VRMをダウンロードできます。提供可能な場合は元のGLBもダウンロードでき、OBS用の非公開ライブステージURLも作成できます。

生成結果は入力画像の解釈であり、忠実な再現を保証するものではありません。複雑なアクセサリー、半透明のレイヤー、画像に写っていない形状では、再生成や手作業の修正が必要になる場合があります。Virmiiで1枚の画像からアバターを作りOBSへ接続するチュートリアルでは、全工程と実際に起こり得る不完全な部分を紹介しています。

リファレンスシートでよくある失敗

最も多い問題は、情報不足よりもビュー間の不一致です。資料を渡す前に、次の点を確認してください。

  • 角度によって色、ライン数、アクセサリーの位置が変わっている
  • 髪や衣装が重なっているのに、内側の構造が示されていない
  • 側面図と正面図で身体の比率が異なる
  • 強いライティングでベースカラーと素材の境界が見えない
  • 小さな補足図を詰め込み、通常の表示倍率では読めない
  • 装飾的なラベルがキャラクターより広い面積を占めている
  • クリッピングや処理負荷を考えず、小物をすべて可動指定している

AIへ入力する場合は、独立したキャラクター画像があるのに、情報量の多いシート全体を送ることも避けます。人へ依頼する場合は反対に、相手が求める補足図とメモを含めてください。

コピーして使えるリファレンスシートのチェックリスト

次の項目を出発点にして、自分の制作に不要なものは削ってください。

  • 読みやすい全身のメインビュー1点
  • 同じ高さにそろえた正面・側面・背面図
  • 頭部と髪の構造を示す拡大図
  • 衣装の隠れたレイヤーと背面デザイン
  • 靴、重要なアクセサリー、手持ちの小物
  • 任意のHex値を添えたフラットなカラースウォッチ
  • 特殊な表面に関する短い素材メモ
  • ニュートラル表情と必要な表情差分
  • 動き、物理演算、取り外し可能パーツに関するメモ
  • キャラクター名、バージョン日、作者クレジット、利用条件
  • 1枚画像からの生成用に書き出した独立した画像

よくある質問

プロ並みの画力は必要ですか?

いいえ。ラフでも角度間で一貫した絵、カラースウォッチ、写真資料、明確なメモがあれば、モデラーはデザインを理解できます。すべてのパネルを描き込む前に、担当アーティストが必要とする資料を確認してください。

どの三面図が必要ですか?

すべての案件に共通する必須構成はありません。オーダーメイドの3Dモデルでは、正面・側面・背面が一般的な組み合わせです。簡単なモデルや初期見積もりでは少ない資料で足りる場合もあり、左右非対称のデザインでは斜めからの図や追加の補足図が必要になる場合があります。

Hexカラーコードは入れるべきですか?

アーティスト間で同じ配色を使いたい場合や、ブランド素材へ展開する場合に役立ちます。意図したベースカラーを明確にできますが、ライティングやシェーダーによる差まではなくせません。Virmiiは現在、パレット値を独立した生成入力として受け付けていません。

Virmiiは1枚の画像から3D VTuberアバターを作れますか?

はい。VirmiiはPNG、JPEG、WebP形式のキャラクター画像を1枚受け取り、生成結果をダウンロード可能なVRMへ変換します。画像に写っていない形状はシステムが推定し、フェイストラッキング機能もモデルによって異なります。最初の結果は完全な再現ではなく、入力画像を基にした生成結果として確認してください。